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NiSi ND-VARIO Pro Nano バリアブルNDフィルター

NiSi Pro Nano1.5-5 Stops Enhance ND-VARIO paired with the Panasonic Leica 12-60mm F2.8-4 and GH5
NiSi Pro Nano1.5-5 Stops Enhance ND-VARIO paired with the Panasonic Leica 12-60mm F2.8-4 and GH5

普通のNDフィルターよりもバリアブルNDフィルターのほうがずっと便利だ、という事実は昔から知っていた。が、画質の面で満足できるバリアブルNDフィルターに出会うことはなかったので、面倒くさいなと思いながらも複数のNDフィルターを使用していました。

特に問題になるのが安いNDフィルターに現れるムラで、『X』のような形に暗い部分が現れてしまうことがあるため、英語ではよく『X effect』などと表現されます。NiSiのND-VARIO Pro Nanoではムラがまったく出ない、という話を聞いたので早速試してみました。この商品には67mm, 72mm, 77mm, 82mm, 95mmという5つのサイズが用意されていますが、いろいろなレンズで使用したいので82mmのものを選びました。

到着した商品をチェックしてまず気がつくのが品質の良さです。スマートフォンを作っているHuaweiなど、近頃は中国のメーカーも良質な製品を製造するメーカー増えました。NiSiもそのような高品質系中国ブランドのひとつだと思います。しっかりとした作りと適度なトルク感のあるスムーズな回転には感心しました。

NDフィルターの典型的な使用方法としてすぐに思い浮かべるものが4つほどあります。

1.明るい単焦点を日中に使いたいPanasonic GH5 + SIGMA 35mm F1.4 via Metabones Speedbooster XL 0.64x with NiSi ND VARIO ProPanasonic GH5 + SIGMA 35mm F1.4 via Metabones Speedbooster XL 0.64x with NiSi ND VARIO Pro. 1/8000 at wide open (approx. f/0.9)

まず第一に、晴れた日の昼間に明るい単焦点レンズを使用して撮影するケースが考えられます。近頃はPanasonic GH5を使って手持ちのスナップ撮影をすることがしばしばあります。これにMetabonesのスピードブースターXL(0.64x)経由でSIGMA 35mm F1.4 ARTをつけるとちょうど標準画角になってなかなか使いやすい。ちなみにこのスピードブースターは画角を0.64xにして、明るさ(f値)を1段と1/3明るくするというすぐれもので、f/1.4のレンズはだいたいf/0.9ぐらいで使えることになります。GH5は拡張でISO100まで下げられますが、基準感度はISO200なので、上の作例のようにf/0.9を昼間使う場合にはNDフィルターが必要になる、という訳です。

2. 日中に屋外でフラッシュを使いたいYuga Kurita NiSI Vario Sakura_E125724Nikon D800E + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8E ED VR with NiSi Vario Pro ND 82mm (flashlight synced at 1/200 sec. shutter speed)

NDフィルターが必要になる2つ目のケースとしては、逆光のシーンなどで日中にフラッシュを使って撮影する場合です。通常、フラッシュがカメラに同調できるスピードは最短で1/250秒程度なので、小さなf値で撮影したい場合はNDフィルターが必要になります。普通は被写体ブレや手ブレを防ぐために最短の同調スピードで撮影することになると思いますが、ISO感度を基準感度、シャッタースピードを1/200秒なり1/250秒に固定して、任意のf値で撮影する場合にはバリアブルNDが便利です。

3. 長秒露光

_A108368-KegonWaterfalls_Yuga_Kurita
Nikon D810A + 24-70mm f/2.8E + ND16 + NiSi 82mm ND-VARIO Pro Nano (3 sec. exposure)

3つ目のケースとして挙げたいのが長秒露光の写真を撮影する場合です。たとえば滝や渓流の写真を撮影する場合に数秒程度の長めのシャッタースピードで撮影すると、水の流れを白糸のようにスムーズに表現することができます。上の作例は華厳の滝にてNiSi ND-VARIO Pro Nano 82mmを使用して撮影しました。

ND1000以上の暗いNDフィルターを使って、分単位の長秒露光写真を撮影するのが私は好きです。とりわけ、日の出や日の入り前後の長秒露光写真は、ノイズリダクションに同じ時間が掛かることを考えると1枚ずつしか撮影することができないので、思い入れの強い写真を撮影することができます。下に挙げた作例は夕方に撮影した15分間の長秒露光で、NiSi ND-VARIO PRO NANO 82mmをND1000と組み合わせて使用しています。このショットでは露出の前半、つまりまだ太陽の残光がかなり残っている時間帯は一番暗くなるまでND-VARIOをまわして、レンズに入ってくる光を最大限制限し、その後、徐々に開いて露出が終わる15分後にはNDの効きを一番弱くしたものです。このようにすることによりだんだんと暗くなる状況で、均一に光を集めることができます。

Nikon D810A + 24-70mm f/2.8E + ND1000 + NiSi 82mm ND-VARIO Pro Nano
Nikon D810A + 24-70mm f/2.8E + ND1000 + NiSi 82mm ND-VARIO Pro Nano (900 sec. exposure)

4.動画

最後になりましたが、バリアブルNDがあって本当に良かった! と、つくづく思うのが日中に動画を撮影するときです。私はもともとスチール写真専門でしたが、近頃はPanasonic GH5を使用して動画の仕事もよくしています。スムーズな動画を撮影するときに大事なのがシャッタースピードなんですね。これが速すぎると動きがカクカクしてしまってとても不自然。適度な被写体ブレが動画では大事です。通常は、フレームレートの半分の長さ、例えば30fpsならば1/60秒程度が最適なシャッタースピードだと言われています。つまり日中はNDフィルターがないとカクカクした動画しか撮れないということです。ND8やND16程度のNDフィルターを使って撮影することもできますが、バリアブルでないと最適なf値よりも更に絞り込まなければならない、あるいはISO感度を上げないとならないケースが出てしまいます。また、複数のNDフィルターを持参して、シーンごとに付け替えるというのは大変な手間です。可変NDフィルターを内蔵していない機種で動画を撮影する人には、良質なバリアブルNDフィルターが必携のアイテムだと言えます。NiSi ND-VARIOは色ムラや解像度の低下もなく、減光効果にもムラが無いので、動画を撮影する人にはとても満足度が高いアイテムだと思います。

下に埋め込んだ動画はPanasonic GH5とNiSi ND-VARIO Pro NanoをつけたPanasonic Leica 12-60mm F2.8-4で撮影しました。明るさがスムーズに変化していくのがよく分かると思います。

色の変化は?

NDフィルターを使う際には色の変化も気になるところです。 NDフィルターをつけた場合とつけない場合の色の変化を比べるために取り急ぎ裏庭に生えている木を撮ってきました。本当は富士山を撮るとよいのでしょうが、本日は生憎と曇っていて富士山は見えないのです。Nikon D800EにNikkor 24-70mm f/2.8E ED VRをつけて絞り優先モードで撮影しています。露出補正は1/3段ステップで行われるため微妙に明るさが違う点を留意してください。

NDフィルターなしWithout ND ()Without ND (1/50sec., f/6.3, ISO100, WB Cloudy)

NiSi ND-VARIO 1.5段減光の最小設定With NiSi ND Vario Minimum (1/13 sec., f/6.3, ISO100, WB Cloudy, Aperture Priority Mode)With NiSi ND Vario MIN (1/13sec., f/6.3, ISO100, WB Cloudy)

NiSi ND-VARIO 5段減光の最大設定With NiSi ND MAXWith NiSi ND Vario MAX (1sec., f/6.3, ISO100, WB Cloudy)

こうやって比較してみると色が微妙に変化しているのがわかります。とはいえ、この変化は必ずしも悪いものではなく、このケースの場合はむしろつけたほうが色被りがなくスッキリしているように見えます。1.5段と5段でほとんど変化はないようですね。つけるとほんの少しだけ色が変わります。いずれにせよ簡単に修正できる範囲内の変化だと思います。

解像度

解像度が悪化するんじゃないかと心配している人がいたので、この点についても検証してみました。上の写真の等倍切り出しです。

NDなしNo ND

ND-VARIoあり(1.5段最小設定)NiSi ND VARIO Minimum (1.5stops)

ND-VARIOあり(5段最大設定)NiSi ND VARIO Maximum (5 stops)

少なくとも3600万画素+大三元ズームの組み合わせではまったく解像度の低下は見られませんでした。NDを付けるときにほんのすこしだけカメラが動いてしまった点はご容赦ください。

結論

NiSi ND-VARIO Pro NanoはNDフィルターを多用する人にはとても便利な商品です。色ムラ、明るさのムラ、解像度の低下等、安いバリアブルNDフィルターを使用した際に見られるネガティブな副作用もありません。値段も¥15,200〜(67mm)なのでコストパフォーマンスも良好だと思います。動画も撮影する人にはとりわけおすすめできる商品です。

この商品を買う場合、よく使うレンズのフィルター径よりも一回り大きいサイズにしておいたほうが、いろいろなレンズで使い回せて便利です。その場合、ステップアップリングを使用して、フィルター径を調節するのですが、ステップアップリングは必ず滑り止めのローレット加工が施されたものを選びましょう。滑り止めがないと撮影現場で交換するのが困難になり、最悪の場合ペンチとかプライヤーのお世話になってしまうこともあります。

便利さ故に付けっぱなしになることが多く、ノブがあるためレンズフードもつけられないので、傷がつかないように専用のキャップあるいはカバーを用意してくれるとありがたいな、と思いました。この点はメーカーに要望を出しておきます。

 

 

超現実的写真

Kusoku ze shiki
Ku soku ze shiki

新しいデジタル撮影・現像技法を考案いたしました。と言っても、現象自体はデジタルカメラの黎明期から存在するもので、表現方法として利用する人が(私が知る限りでは)いなかったというだけですが。

具体的なカメラの名前は覚えていないのですが、ベイヤー式のセンサーが発明される前はワンショットでカラー写真を撮れなかったそうです。そこでR、G、Bと光の三原色ごとにショットを撮ってそれを合成していた。ただし、この方法だと被写体ブレするものがあった場合は存在しない色が出てしまうとのことでした。

この話を聞いた時に閃きました。もし、この色をわざと技法として使えば面白いのではないか、と。試行錯誤を重ねた末に幾つか作品として納得できるものができたので、制作方法の基本をここに紹介いたします。

ほぼ同じショットが3枚必要になるので、当然ながら三脚が必要になります。派手な効果を得るには長めのシャッタースピードが必要で、できれば各ショットの時間的間隔を空けた方が良いのですが、今回は3連続で撮影した露出時間60秒のショットを例として使います。

shot#1 shot#2 shot#3

ご覧のようにほとんど変化がない3枚の写真ですが、雲と水の具合が微妙に違います。この三枚をLight RoomからPhotoshopにレイヤーとしてエクスポートします。スクリーンショットが英語なのは何卒ご容赦下さい。

Screen Shot open as layers

imported

そうしたらカラーチャンネルを使って、それぞれのショットでRGBのうちの1チャンネルだけ使うように設定します。

red

一枚目は赤だけ100%で残りは0%、二枚目は緑だけ100%という具合に指定します。

result

そうしたら一枚目の透過度を33%、二枚目の透過度を50%にして一つのレイヤーにまとめます。英語ではflattenというのですが、日本語のコマンド名を知りません。すみません。汗) で、backgroundに全部まとめたらCommand (CTRL) + Sを押して保存します。するとLight Roomに出来上がったものが現れるので、下記のような設定で調整します。

lr adjustment

結果として現れるのは以下に示したようなイメージ。ご覧のように動いている部分が玉虫色に変化します。面白いでしょ?

_A056452-Edit

という訳で、新たに開発したこの技を使って作った作品を7点ほど今回の個展では展示しています。個展は2月26日までなので、興味がある方はIsland Galleryにお越しくださいね♡

3-1L空即是色(パネル)

B1_3-2_予感(パネル)

A3_3-2 優しい荒波(黒額)tif

A3_3-2横 秘宝(黒額)

B1SQ_ASCENSION(パネル)

B1SQ ETERNITY(パネル)

A4_SQ 変幻自在(黒額)

人に真似されるだけだから種明かしはしないほうがいい、と友人たちには言われましたが、むしろ同じ技を使って他の人が作った作品を見てみたいという好奇心が強いので、公開することにしました。個展に来てくれた人たちにはすでに言っちゃってますし。「どうやってるんですか?」と訊かれて「いやー秘密です」なんて言えないですから。

P.S. 浅学にして知りませんでしたが、フィルムの頃にカラーフィルターを使って滝を撮影するという技があったそうです。私も滝でこの技を試しましたが、NDを使ってシャッタースピードを遅くすると却って分かりづらいです。恐らくシャッタースピードは速かったのでしょう。私の場合は長秒露光で時間的間隔を開けるというのが大事です。作例については個展が終わって帰宅したらわかりやすいものに差し替えます。いずれにせよ、この技法をもう少し探求してより効果的な表現を探していきます。

失われた宇宙を求めて(写真展)

Yuga Kurita Photo Exhibition "In Search of Lost Space"
Yuga Kurita Photo Exhibition “In Search of Lost Space”

2月17日(金)より東京駅近くのアイランドギャラリーにて、3度目の個展を開きます。自信作を揃えて皆様のご来廊をお待ちしています。ぜひお越しください!

栗田ゆが 写真展『失われた宇宙(そら)を求めて』

会  期 2017年2月17日[金]-26日[日] 11:00-19:00

入場無料 会期中無休 作家全日在廊

会  場 Island Gallery

東京都中央区京橋1-5-5 B1 tel / 03-3517-2125 (地図)

協  賛

マルマン株式会社 Canson Infinity

EIZO株式会社

2016年のクリスマスプレゼント

メリークリスマス!

今年も一年間いろいろとありがとうございます。感謝の気持ちを込めてスマートフォン用の待受壁紙4枚をプレゼントいたします。iPhone 7 Plus等のデカスマホ対応の1080 x 1920 (16:9)フォーマット。すべて縦構図です。来年もよろしくお願いいたします。

※ ダウンロードして壁紙・待受け画面としてお使いください。インターネットへの再アップロードや印刷等はしないでください。

Wallpaper #1

yuga-wallpaper-1

Wallpaper #2

yuga-wallpaper-2

Wallpaper #3

yuga-wallpaper-3

Wallpaper #4

yuga-wallpaper-4

富士に蛍

Nikon D810A + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8E ED VR
Nikon D810A + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8E ED VR

先日箱根にあるポーラ美術館に行ってきました。実はこの美術館の存在を知ったのは割と最近なのですが、2002年にオープンしたそうです。21世紀になってから起こった出来事は「割と最近」という感覚でうけとめてしまいがちですが、よくよく考えてみるともう14年近く経っています。ちかごろは「最近」という感覚がかなりいい加減になってしまいました。どうも自分が30歳になってから起こったことはすべて「最近」の一言で済ませてしまっているような気がします。ひょっとしたらあの頃から精神的にあまり成長していないのが原因かもしれません。

ポーラ美術館、なかなか良かったです。ルノアールやモネなどの西洋絵画が中心のコレクションでしたが、エミール・ガレなどの西洋ガラス工芸や東洋の陶磁器なども印象的でした。

美術館を訪れたのは土曜日でしたが、あまり混雑していませんでした。この美術館で一番有名な絵画はおそらくルノアールの『レース帽子の少女』なのでしょうが、5分ぐらい独占して、近づいたり離れたりして鑑賞できました。個人的にはルノアールはちょっと離れてみた方が良いなと思いましたが、混んでいる美術館では不可能ですからね。

先日、上野の東京都美術館で若冲生誕300年記念展が開催されました。ちょうど母の命日が初日だったので、お墓参りも兼ねて東京(正確に言うとお墓は川口市ですが)に戻ってみたのですが、初日でしかも金曜日だというのにすでに人がいっぱいでじっくりと鑑賞するのはとてもではないけど不可能でした。それでもまだだいぶましな方だったようで、その日以降はほぼ常に入場制限が掛かって入場するまで数時間待たされるようになったようです。京都の国立美術館で狩野派を観たときにも思いましたが、こういう大々的な展覧会で芸術品を鑑賞するのはもう無理ですね。とりあえず本物を観たという満足感以外は得られません。なにしろ少子高齢化が著しい社会ですから、平日の昼間に美術館を訪れても混んでることが多い。これからは各美術館のコレクションを調べて常設展狙いで行こうと思います。

Nikon D800E + AF-S Nikkor 14-24mm f/2.8G ED
Nikon D800E + AF-S Nikkor 14-24mm f/2.8G ED

箱根から富士吉田に帰る途中で蛍を撮影して帰ることにしました。ここはマイナーな撮影スポットだと思っていたのですが、驚いたことに次から次へとカメラマンがやってきて最終的には20人ぐらいまで増えていました。お約束のフラッシュをたいて蛍を撮ろうとするような困った人も現れ、なかなか困難な撮影でしたが、この日集まっていたのはわりと平和的な人が多かったので雰囲気は悪くなかったです。だけれどもここで撮影することはもうないかな。きっと来年はさらに増えているでしょう。

富士山撮影というか日本の風景写真の撮影は新時代に突入しているような気がします。有名スポットはもちろんマイナースポットも日に日に混雑していきます。SNSで写真を公開する時代になって、撮影場所はすぐに大勢の人に知られてしまうようになりました。GPSデータ付きで撮影場所を公開するようなウェブサイトまであります。確かにそういうサイトは初心者に便利なんでしょうが、人が集まることによって不可避的にマナーが悪い人も紛れ込んでしまうので、付帯的に発生するゴミの問題や小競り合いなどのトラブルについてもすこし考えてもらいたいものです。そのうち刃傷沙汰が起こるんじゃないの? と本気で心配になることがたまにあります。

Mt. Fuji with the Chureito pagoda in spring
Mt. Fuji with the Chureito pagoda in spring

更に先ほども言ったように少子高齢化が進んでいるので平日に行っても撮影スポットが空いているとは限りません。ただしみんな季節の旬な物(田貫湖のダイヤモンド富士とか忠霊塔の桜とか)を撮りたがるので一カ所に集まる傾向があります。わたしの知人は富士山を撮っている人が多いので、SNSのストリームには同じ日に同じ場所で撮った同じ構図の写真がわんさかとアップロードされてきます。そういう状況でオリジナリティを維持するというのはなかなか大変です。逆に言えば、あえて季節の旬な物に背を向ければ、混雑に悩まされることはなさそうです。あとはそもそも行くのが大変な場所などですね。南アルプスとか。

Mt. Fuji over the Kofu basin taken from Mt. Houou in the Southern Alps.
Mt. Fuji over the Kofu basin taken from Mt. Houou in the Southern Alps.

つくづく思うのは日本は人が多すぎるということ。少子高齢化が叫ばれていますし、実際に急激な人口構成の変化は大事件かもしれません。わたしには子供がいないので少子高齢化の話題になると肩身が狭い思いをするのが常です。たしかに日本経済の将来を中心に据えた価値観では子供を作らないのは悪徳なのかもしれないけれど、グローバルな観点で言えばホモサピエンスの個体数は明らかに多すぎるのだから子供を作らないことはむしろ美徳なんじゃないの? などと自己正当化したくなるときもありますが、たんに子供が欲しくないだけです。ええ。ま、でも日本列島に一億人以上の人間が住むようになったのは1966年以降、長い日本史のなかではほんの一時期に過ぎません。今の半分ぐらいでちょうどいいような気がします。問題は多数の老人を若い世代が支えなければならないということなのでしょうが、無理して支えないでいいんじゃないでしょうか。

尊厳死とか安楽死を真剣に考えた方が良い時期にきていますよね。若い世代に過大な負担を掛けて延命治療の財源を得るなんてばかげている。わたしの母親は膵臓がんで治る見込みがまったくなかったので、辛いから早く殺してくれと何回も懇願していましたが、殺人幇助になってしまうので医師としてもどうしようもありません。激痛に苦しみながら1ヶ月間長生きすることになんの意味があるのだろう? という疑問を振り払うことはできませんでした。私ももう治る見込みがないんだったら楽に死なせて欲しいです。死ぬのは仕方ないけど痛かったり苦しかったりするのは嫌だ、って思いません? 法整備ができている海外に行って死ぬという選択肢もありかもしれませんね。それまでに悔いがないようにやりたいことをすべてやっておきたいです。

ちなみにこの写真を撮影した日(6月11日)はわたしの45回目の誕生日でした。総じて言えばなかなか良い誕生日だったと思います。祝ってくれたみなさんどうもありがとうございます。

風景写真とバガヴァッドギーター

Nikon D810A + AF-S 14-24mm f/2.8G ED
Nikon D810A + AF-S  Nikkor 14-24mm f/2.8G ED

オーディオブックを日常的に聞く習慣がついてもう10年近く経つ。ドライブや散歩やジョギングなど集中力をあまり要求されないタスクをこなしているときにBGM代わりに聞くだけで、新たな知識を得ることができるので日常生活の大きな楽しみのひとつになっている。ここ数年は日本語のタイトルも増えてきたが、英語圏におけるオーディオブック市場の大きさは圧倒的だ。ある程度のセールスがあった本はすべてオーディオブック版も作られていて、最新のフィクションから古典まで楽しめる。というわけで近頃は写真撮影をしているときも一通り設定が終わると、オーディオブックを聞きながらシャッターを切る瞬間を待つのだが、ここ数日はエクナス・ イスワランがサンスクリット語から英語に訳した『バガヴァッド・ギーター』を聞きながら過ごしている。

『バガヴァッド・ギーター』は紀元前3世紀頃に書かれた聖典で、『マハーバーラタ』という巨大な叙事詩の一部となっている。マハトマ・ガンディーをはじめとする多くの偉人達に多大な影響を与えてきたのだが、日本ではそれほどポピュラーではないかもしれない。肉親との骨肉の争いに直面して「もうこんな戦いは嫌だ」と泣き言をならべるアルジュナ王子を彼の師匠であるクリシュナ(ヴィシュヌ神の8番目の化身)が叱咤激励しつつ解脱への道を解説してしまうと言うストーリーだ。ちなみにインドではお釈迦様(仏陀)はヴィシュヌの9番目の化身といわれていて、化身を意味するサンスクリット語のアヴァタラ(अवतार)は英語のアヴァター(avatar)の語源にもなっている。

クリシュナ曰く

『君の職務は行為そのものであり結果ではない。結果を目的にしてはいけない。無為に執着してもいけない。アルジュナよ、執着を捨て義務を遂行するのだ。成功と失敗は同一であると知れ。完全なる心の平静をヨガはもたらす』

富士の向こうに薄雲がかかっていたので劇的な夕焼けを期待して家を出た。良い結果を期待して撮影に出かけたわけなので、結果を目的にしていると解釈できてしまうが、絵になる風景を求めて撮影に出かけるというのは写真家のダルマ(職務)の範疇にはいる行為だろう。

Nikon D800E + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8E ED VR
Nikon D800E + AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8E ED VR

自分の知識や経験にもとづいて、撮りたい絵が撮れる可能性が高い場所に向かうというのは風景写真家ならば当然おこなうべき行為だ。しかし、人間が自然現象をコントロールすることは不可能である以上、ひとたび撮影場所と時間を決定したら、自分で制御可能なことのみに専念する。たとえば、そのシーンを切り抜く最良の画角の選択だとか、構図をいろいろと試すとか、フォーカスをしっかり合わせるとか、露出を適切に設定するとかそういうところで最善を尽くす。劇的な夕焼けが訪れるか、月並みな夕暮れで終わるかはコントロールの埒外であり、そういうことに一喜一憂しないで、結果がどうであれ自分自身の行為に満足するように心がける。

ちなみにここで言う「ヨガ」とはフィットネスクラブで行う体操ではない。西洋や日本では「ハタヨガ」という流派の「アーサナ」と呼ばれるポーズの事をヨガと呼んでいるが、床に座ることを禅と呼ぶようなもので、ヨガという言葉の本来の意味と懸隔している。ここでクリシュナが説いているのは、行為を通して悟りへと至る「カルマヨガ」であり、フィットネスのエクササイズのことではない(だがエクササイズという行為そのものにカルマヨガを応用することは可能かもしれない)。バガヴァッド・ギーターの後半ではクリシュナへの絶対帰依を通して解脱へと至る「バクティヨガ」や叡智を通して悟りへと至る「ニャーナヨーガ」についても説かれているが、今回は触れません。個人的にはニャーナという響きは猫っぽくて好きですが。

This was how far I could apply the knowledge of the Gita to my photography. I’m sure I will gain more insights from this ancient wisdom and apply them to my everyday life as I read (and listen to) it over and over. But I can safely say that it wasn’t too difficult to detach from the fruit of my action in this case since I love nature in any form.

Gitzoトラベラー三脚GT2545Tレビュー

Shooting Fujisan with the Gitzo GT2545T captured with the Nikon D800E + SIGMA 35mm f/1.4DG HSM | Art
Shooting Fujisan with the Gitzo GT2545T captured with the Nikon D800E + SIGMA 35mm f/1.4DG HSM | Art

山行や旅行などの用途の三脚としてはGitzo G1228MK2を愛用していました。一般に良質の三脚は一生ものというけど、小型軽量の分野は日進月歩で進化しているように思います。G1228MK2も十分に軽量な三脚なのですが、さらなる軽さとコンパクトさと剛性を求めて最近出たばかりのトラベラー三脚GT2545Tを手に入れました。最初は値段がこなれてきたひとつ前のモデルのGT2542Tで十分かなと思ったのですが、進化している点も多いので3万ちょっと高い新型を入手。優れていると思う点を列挙してみます。

1) Carbon eXact技術の採用により、一番細い脚の先端の部分の太さが従来品よりも22.5%太くなった。カタログスペックの耐荷重は変わっていませんが、これによりさらなる剛性が期待できそうです。

2) センターポール(エレベーター)を伸ばさないでも目線に近い位置で撮影できる。旧モデルよりも12cmほど高くなっています。これは使い勝手に大きく影響する。_9E64534

Sunway Fotoのレベリングユニットをつけた状態です。写っている車(ハスラー)の車高が約167cmなので身長170cm前後の人はエレベーターを伸ばさないでも調度良い高さで使えます。

3) 重量は1.34kgと前モデルとほぼ変わらず。上記のアドバンテージを考えると進化です。

4) 畳んだ時の長さは44.5cmと少しだけ伸びましたが、十分に手荷物に収まる長さです。

GT2545Tには2本のセンターポールが付属するのですが、一本は31cm (119g)、もう一本は極めて短い8cm (42g) の物で地面すれすれで撮影する為のものです。正直言って私にはこの組み合わせは今ひとつ納得がいきません。エレベーターを上げる必然性は少ないし、なるべく軽くしたいので短い方を使うつもりだったのですが、こちらの極短センターポールにはネジ穴が無いのでウェイトフックを装着できません。長い方は低位置撮影がし辛い。

残念な点はもう一つあります。GT2545Tにはウェイトフックが付属しません。G1228MK2に付けていたフックを使いまわそうかと思いましたが、G2020という旧型のフックは付きませんでした。


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2つのセンターポールを持ち歩いて頻繁に交換するというのはかなり面倒です。結局、 GS2511KBという2型のショートセンターポールを追加購入。長さは19.5cmで重さは97gと中間的な物です。ちなみにこのセンターコラムには最初からウェイトフックが付いてきます。

GT2545Tの剛性は高いけど凄く軽いので風が強い時はウェイトフックが無いと直ぐに倒れます。G2511KBを付けると厳密な意味でのグラウンドレベルにはなりませんが、センターポールを1.5cm程上げてやると地面に這うように設置できます。要するにセンターコラムが地面に触れなければ良いわけだから、長さが8cmでも18cmでも実際の使用では差がない。だったら最初から18cmぐらいの長さのセンターポールをウェイトフックと一緒に付けてくれたほうがずっとありがたかった。

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水平出し用にGitzo GLEVEL2という水準器を取り付けて、雲台はBenroのB00というアルカスイス互換の自由雲台にしました。重さはたったの227gですが、3kgぐらいの荷重ならば楽勝です。D800/D810に大三元クラスのレンズを付けても十分に安定します。この雲台は土台部分でパンニングできるのでパノラマスティッチの時は便利です。普通、Gitzoにはもう少し高級なブランドを合わせるのでしょうが、これより軽くて固定力が強い製品は知りません。


長野へぶらりと日帰り旅行

Nikon D810A + AF-S Nikkor 70-200mm f/4G ED VR
Nikon D810A + AF-S Nikkor 70-200mm f/4G ED VR

長野への日帰り旅行に行ってきました。風景写真の作品撮りがメインなので一箇所にずっと留まって絶景を狙い続ける事も多いのですが、たまには色々なところを巡って、手持ちでスナップをたくさん撮るのも楽しいです。
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SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM | Art

Diamond Fuji from the Southern Alps
Nikon D800E + SIGMA 24-105mm f/4 DG OS HSM | Art
HDR image created out of 4 brackets to expand the dynamic range.

多くのカメラマンは大三元と呼ばれるf/2.8通しのズームレンズをまず揃えたがるものですが、私が愛用しているメインの標準ズームレンズはシグマArtシリーズの24-105mm F4 DG OS HSMです。このレンズで数万枚の写真を撮ってきたので、その魅力について私なりの考えを書いてみたいと思います。

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