1. 新倉山浅間公園(忠霊塔)
英語圏でいちばん有名なガイドブックである『ロンリープラネット』の表紙を飾るなど、すでに日本を代表する絶景になった感のある場所です。ほんの数年前までは柵やデッキは整備もされておらず、桜の季節を除いては来る人もまばらで、忠霊塔の直ぐ側まで車で来て駐車することができました。
現在は下の駐車場に駐車して398段の階段を上らなけれなりません。トイレは駐車場と忠霊塔側に1つずつあります。この階段はもともと397段だったのですが、富士山の女神であるコノハナノサクヤヒメにちなんで一つ足してサクヤ(398)にしたそうです。
電車で行く場合は富士急線『下吉田』が最寄りの駅です。忠霊塔の人気が高まっている影響で2020年3月14日以降は、新宿駅から河口湖駅へ直通する特急『富士回遊』を含むすべての特急が下吉田に停車するようになります。
駐車場は無料で利用できますが、桜まつりの期間中は1000円の駐車場代(バイクは500円)を徴収されます。桜まつりの期間は毎年変化すると思いますが、基本的に4月の上旬になります。
桜の時期は大変混雑するため、富士山と忠霊塔を一緒に見ることができるお立ち台デッキでは5分以内の移動を促され、三脚の使用も禁止されます。とはいえ明るい時間帯に静止画を撮るならば手持ちで十分でしょう。人気の場所は三脚禁止になっていくのが宿命なので手ブレ補正の技術は今後ますます重要になると思います。
ちなみにこの塔は戦没兵士のための慰霊塔であり、お寺にある五重塔とは違って仏舎利はありません。忠霊塔と呼ばれる塔は日本各地にいくつも存在しているのですが、明治維新以降の神仏分離の流れもあり、普通は五重塔を模した様式にはなりません。新倉浅間神社の忠霊塔は意表をついて仏教的な外観を採用したので、熱心な仏教徒が多いタイなどでバズって、結果として世界的な観光スポットになりました。面白いものです。
この忠霊塔は伝統的な日本建築に基づいて建てられたものではなく、鉄筋コンクリート造りで、屋根にも瓦がありません。ちょっと意地悪な言い方をすると「なんちゃって五重塔」なのです。このあたりが原因で、マイナースポットに甘んじていたのではないかと思います。
SNS時代になって海外で人気に火がついた、とよく言われますが、それは海外の人が一般的な日本人以上に日本建築について無知なのと、SNS&スマホの時代になってパッと見のインパクトが一番大事になったからでしょう。
私事で恐縮ですが、私がここで撮影した写真が『東京カメラ部2013年10選』に選ばれて、ヒカリエに展示されました。今となってはごく普通の写真ですが、当時はここから撮る人が少なく、地元民と一部の風景写真家を除いては完全に無名の場所だったので大きな反響を呼びました。この切り取り方も当時は割と斬新だったのですが、SIGMA DP2 Merrillという単焦点のカメラを使っていたので、仕方なく選んだ構図でした。
階段を上って右側に行くと東屋があり、そのあたりも撮影スポットになっています。富士吉田市街越しに富士山が裾野まできれいに見えます。またここの上下にも桜が植えてあるので、春には様々な構図を試すことができます。
2. 農村公園
農道公園という表記も散見しますが、農村公園が正式な名称のようです。富士吉田市民病院付近の田園地帯で、広大な傾斜には基本的に田んぼしか無いため遮るものが無く富士山がよく見えます。
グランドの側に駐車場とトイレがあるのでここを起点にして散歩しながらベストアングルを探りましょう。富士吉田では田植えのシーズン以外でも田んぼに水を張ってあることが多いので逆さ富士を狙いやすいエリアでもあります。
※12月~3月まではトイレが閉鎖されているのでご注意ください。
3. 道の駅富士吉田(リフレふじよしだ)
道の駅富士吉田からも富士山がよく見えます。夏場には上の写真のようにプールに水が張ってあるので逆さ富士が撮れます。道の駅なのでもちろんトイレを完備しています。また、ここでは富士山のミネラルウォーターを無料で汲めます。
レーダードーム館の階段をのぼるとちょっと高めの目線から富士山を見ることができます。撮影の際は足場に気をつけてください。
道の駅富士吉田は買い物にも便利です。モンベルがあるので防寒具やアウトドア用具を持っていない人はここで購入することができます。
4. パインズパーク(諏訪の森自然公園)
富士吉田の中心部からだいぶ富士山側にのぼったところにある公園です。ちなみに富士北麓では富士山側、つまり南を上と呼び、北を下と呼ぶので、だいぶ上の方にある場所です。ローカルな案内図なども南にある富士山が上に描かれていることが多いので困惑する人も多いようですが、住んでみるとこの感覚がしっくりと馴染みます。
この場所は秋に紅葉を撮りに来る人が多いようです。標高が高めで市街地とちょっと時期がずれるため、河口湖に行ってみたけどちょっと早すぎた、なんて時に来ると良いかもしれません。街から離れていて比較的光害が少ないので、星撮りにも悪くありません。駐車場とトイレを完備しています。
5. 富士散策公園
ここも駐車場トイレ完備で撮影しやすい環境にあります。とはいえ道の駅富士吉田や農村公園など、他の撮影スポットがすぐ近くにあるので私はあまり使いません。
まだ撮ってませんが、富士山側に光源となる民家や店などがないので、おそらく星撮りにも適していると思います。
6. 富士見孝徳公園
富士吉田で一番の穴場はここだと思います。お気に入りの場所が混雑するようになったら嫌なので、正直言ってブログ記事に乗せるかどうか悩みましたが、最後まで読んでくれた方のために載せることにしました。
公園と名乗っていますが、実際には私有地のようで地主さんが一人で整備して今の形にしてくれたようです。桜の時期も紅葉の時期も美しい場所です。忠霊塔からも近いので、混雑に辟易としたらこちらに逃げてくるのも良いでしょう。
公園を抜けて奥に行くと中央高速富士吉田線越しに富士吉田市街と富士山を見ることができる地点にたどり着きます。 私はここからぼーっと景色を眺めるのが好きです。
高速バス富士五湖新宿線の『下吉田』バス停からほど近いので、実は東京からのアクセスがとても良く、新宿から1時間35分ほどで来ることができます。新宿のヨドバシカメラの側のバスステーションから出る高速バスがこのバス停に停車します。
高台の上にある駐車スペースはキャパが小さく3〜4台程度しか停められませんし、すれ違いも困難なので、混雑する桜と紅葉の時期は下にある臨時駐車場に駐車するようにしてください。
追記
今回の記事では紹介していないスポットもいくつかありますが、基本的にこのサイトでは駐車場やトイレを備えていて、訪れる観光客やカメラマンが増えてもあまり問題がなさそうな場所を中心に紹介しています。
私は富士吉田の大明見という場所に3年ほど住んでいたことがあるのですが、上記の理由から今回は大明見の撮影スポットを紹介していません。某山の地主さんが整備して公園にしようとしているという話を聞いたので、駐車場等ができて紹介しても問題ないような状態になったら、このページを更新して大明見の撮影スポットを追記します。