新しいデジタル撮影・現像技法を考案いたしました。と言っても、現象自体はデジタルカメラの黎明期から存在するもので、表現方法として利用する人が(私が知る限りでは)いなかったというだけですが。
具体的なカメラの名前は覚えていないのですが、ベイヤー式のセンサーが発明される前はワンショットでカラー写真を撮れなかったそうです。そこでR、G、Bと光の三原色ごとにショットを撮ってそれを合成していた。ただし、この方法だと被写体ブレするものがあった場合は存在しない色が出てしまうとのことでした。
この話を聞いた時に閃きました。もし、この色をわざと技法として使えば面白いのではないか、と。試行錯誤を重ねた末に幾つか作品として納得できるものができたので、制作方法の基本をここに紹介いたします。
ほぼ同じショットが3枚必要になるので、当然ながら三脚が必要になります。派手な効果を得るには長めのシャッタースピードが必要で、できれば各ショットの時間的間隔を空けた方が良いのですが、今回は3連続で撮影した露出時間60秒のショットを例として使います。
ご覧のようにほとんど変化がない3枚の写真ですが、雲と水の具合が微妙に違います。この三枚をLight RoomからPhotoshopにレイヤーとしてエクスポートします。スクリーンショットが英語なのは何卒ご容赦下さい。
そうしたらカラーチャンネルを使って、それぞれのショットでRGBのうちの1チャンネルだけ使うように設定します。
一枚目は赤だけ100%で残りは0%、二枚目は緑だけ100%という具合に指定します。
そうしたら一枚目の透過度を33%、二枚目の透過度を50%にして一つのレイヤーにまとめます。英語ではflattenというのですが、日本語のコマンド名を知りません。すみません。汗) で、backgroundに全部まとめたらCommand (CTRL) + Sを押して保存します。するとLight Roomに出来上がったものが現れるので、下記のような設定で調整します。
結果として現れるのは以下に示したようなイメージ。ご覧のように動いている部分が玉虫色に変化します。面白いでしょ?
という訳で、新たに開発したこの技を使って作った作品を7点ほど今回の個展では展示しています。個展は2月26日までなので、興味がある方はIsland Galleryにお越しくださいね♡
人に真似されるだけだから種明かしはしないほうがいい、と友人たちには言われましたが、むしろ同じ技を使って他の人が作った作品を見てみたいという好奇心が強いので、公開することにしました。個展に来てくれた人たちにはすでに言っちゃってますし。「どうやってるんですか?」と訊かれて「いやー秘密です」なんて言えないですから。
P.S. 浅学にして知りませんでしたが、フィルムの頃にカラーフィルターを使って滝を撮影するという技があったそうです。私も滝でこの技を試しましたが、NDを使ってシャッタースピードを遅くすると却って分かりづらいです。恐らくシャッタースピードは速かったのでしょう。私の場合は長秒露光で時間的間隔を開けるというのが大事です。作例については個展が終わって帰宅したらわかりやすいものに差し替えます。いずれにせよ、この技法をもう少し探求してより効果的な表現を探していきます。
※WordPressをサブディレクトリ型で多言語化する作業に伴い、2019年12月26日に日本語部分だけを切り離して投稿。