日本の原風景ってなんだ?

先日、コスモスと富士山の写真をアップロードしたら、スロヴァキアの方から思わぬ反応を頂いた。曰く、コスモスの原産地はメキシコで、それが明治時代になって日本に渡来した。そして、日本で爆発的に増殖して、秋の風物詩として定着した。美しい写真だが、生態系にとって好ましくないことだ。

なんと、100年ちょっとしか経ってなかったのか! コスモスがたった百年余りで日本全国に爆発的に増えたということは、よほど日本の風土と相性が良かったのかもしれない。しかし、その影響で日本原産の植物が衰退した可能性もありそうだ。ついつい、綺麗だったらそれでいいじゃん、と思って撮りがちだが、真剣に考えたほうが良い問題なのかもしれない。

Yuga Kurita Mount Fuji Terraced Rice Fields Lycoris radiata_9E49437
Nikon D800E w/ SIGMA 24-105mm f/4 DG OS HSM

富士に棚田に彼岸花。あ〜これぞ日本の原風景! しかしながら、曼珠沙華の原産地は中国の揚子江で、稲作とともに中国から伝わったという説が有力らしい。

稲作は弥生時代に中国から伝わった、と我々の時代は学校で習ったものだ。しかしながら、調べてみたら今は違うらしい。南溝手遺跡や津島岡大遺跡の土器胎土内から5500年前のイネのプラント・オパールが発見され、朝寝鼻貝塚の6000年前の地層からもイネプラントオパールが発見された。これにより、現在では縄文時代中期以前まで遡って陸稲(熱帯ジャポニカ)による稲作が行われていたとする学説が有力となっているそうだ(wikiペディアによる)。全部岡山だ。縄文時代は岡山が日本で一番進んでいたのかもしれない。

ということは、日本古来の稲作と大陸渡来の水田稲作の二種類があるのだろうか? いずれにせよ彼岸花も稲も千年以上前から日本にあるのだから、由緒正しい「原風景」と言えそうだ。

Yuga Kurita Mount Fuji Sakura Cherry Blossoms_KE37258
Nikon D800E w/ SIGMA 24-105mm f/4 DG OS HSM

そこでハッと思った。そうだ、桜はどうなのだろうか? やはり日本の原風景といえば富士に桜。調べてみると、サクラの原産地自体はヒマラヤのようだが、観賞用の品種であるオオシマザクラなどの原産地は日本だそうだ。ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンを交配してできた。エドヒガンも日本原産なので交配種とはいえ、とても日本らしい風景と言える。

実(つまりチェリー)が成るサクラは海外原産が多いようだが、観賞用のサクラに関しては日本が原産であると思って良さそうです。実は「サクラの原産地は中国で平安時代に日本に伝来したのだ」という話を聞いて真に受けていたのだが、虚偽であったようでホッとした。

やはり人から聞いた話や、テレビがソースの話などは鵜呑みにせずにちゃんと調べたほうが良いですね。また、昔学校で習っていた内容も、新たな発見などで否定されるということはよくあります。個人的に一番衝撃だったのは、「脳細胞はいくつになっても増える」ということです。私の世代は「脳細胞は細胞分裂をしないので、年をとるに連れ減っていく」と習ったものです。しかし、1998年にピーター・エリクソンとフレッド・ゲージという科学者が大人でも脳細胞が新生するという事実を発見した。この記事を読んでいるあなたがいくつであれ、まだまだ成長できるということです。死ぬまで進歩できるということですね。これを知った時は嬉しかった。まだまだこれから!

そうそう「原風景」というのは本来個人的なもので、人それぞれ異なるようです。「日本の原風景」といった場合は、多くの日本人が懐かしく思い描くイメージのようですね。そう考えると植物の原産地はどうでもよいのかもしれません。秋桜と富士山も日本の原風景として定着する日は近いのかもしれません。

SIGMA ART 24-105mm f/4 DG OS HSM (ニコンFマウント)
とても気に入っているのですが、あまり売れていないようです。重いですが高解像でボケ味も良い。

WordPressをサブディレクトリ型で多言語化する作業に伴い、20191226日に日本語部分だけを切り離して投稿。

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